先日大手日本企業の販売会社を訪問した。ショールームを色々と見てきたけれど、新鮮な発想に大変興味を持った。その場に入ると、引越し前の新築のオフィスのように、空の状態だ。天井はITの仕組みが極力見えるようにむき出しにしてありる。家具も、什器も、商品も、何も置く予定はないそうだ。
ある有名な建築士がデザインした広々とした洗練された美しい空間は、入ったとたんに気持ちが良い。サンダルウッドのすっきりした香りも手伝っていたと思う。照明の演出も良い。日本の典型的なビジネススーツをまとった企業人達が入ってくると、空間に合わない、と苦笑いする案内の方の話がちょっと可笑しかった。まだできて間もないそのショールームは、現時点の使い方としては、社長とクライアント企業のリーダー達が夢を語り合う会場として使われている。その空間に浸りながら、お互いのやりたいこと、一緒にやれることの可能性について熱く語り合う。何度か企業の迎賓館における会に参加したことがあるが、おもてなしや、信頼関係を気づくには、このショールームの方がはるかに効果的だ、と感じた。
裕福な企業人達は沢山いるだろう。でも、企業としてその裕福さを演出する場を作る前に、ビジネスの夢を分かち合う場を作ることがとても大切だ。このような場は、ホテルの宴会場などの外部の特別な会場では中々演出できない。プロデュース会社に委託して、イベントの際に会社のブランドを伝える空間を作ってもらっても、それは売り物重視の空間になってしまう。
このショールームを作るにあたり、社長のこだわりは大変なものだったという。人によっては、社長のおもちゃだ、と言っている。だが、今の利益重視、コスト削減の時代だからこそ、このような夢のある空間を社内に持つことが大切なのだと思う。そうすることで、社会に、社員に強いメッセージを与えることができるのだから。会社は夢を語る人達から始まるというメッセージを。
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